【Rails】忘れがちなGemfileの書き方を総復習

はじめに

RailsアプリにGemをインストールするときに使うGemfileですが、意外とその詳しい書き方は把握していないという方も多いと思います。例えば、インストールするバージョンを「2.1.2以上でパッチバージョンのみ上げることを許容」などと指定する方法や、ソースとしてGitHubの特定のブランチを指定する方法などは、よく使う割に曖昧になりがちです。

本記事では、Gemfileを書くときによく使うものの「そういえば、どう書くんだっけ?」ということをまとめています。

Gemfileでよく使う書き方

Gemのバージョン指定

Gemfileでは、インストールするGemに対して以下のバージョン指定方法ができます。

指定方法 意味
X.X.X X.X.X固定
>= X.X.X X.X.X以上
>= X.X.X, < Y.Y.Y X.X.X以上Y.Y.Y未満
~> X.X.X 明記したところ以下のバージョンが上がることのみ許容

最後のチルダ(~)を使ったバージョン指定方法がわかりにくいので補足します。

「明記したところ以下のバージョン」とは、指定したバージョンの右端のバージョンのことを指します。X.Y.ZだったらZX.YだったらYXだったらXが「明記したところ以下のバージョン」となります。指定したバージョンの段階別にまとめると以下の通りとなります。

指定バージョン 意味 別の書き方
~> 1.2.3 1.2.3以上1.3.0未満 >= 1.2.3, < 1.3.0
~> 1.2 1.2.x1.2以上1.3未満) >= 1.2, < 1.3
~> 1 1.x1以上2未満) >= 1, < 2

ちなみに、package.jsonなどで使えるキャレット(^)を使ったバージョン指定方法は、Gemfileではサポートしていません。

バージョニング表記について

補足として、簡単にバージョニング表記の意味について説明しておきます。

表記 意味
0.0.x パッチバージョン。APIの変更のない実装レベルの修正。バグフィックス等。
0.x.0 マイナーバージョン。後方互換性をもったAPIの変更など。新機能、新APIの実装等。
x.0.0 アップデートするとユーザーの実装が動かなくなるような後方互換性のない変更を含む場合。

Gitリポジトリの指定

Gemfileはファイルの先頭でグローバルなソースを指定します。

source "https://rubygems.org"

Gemのインストールにグローバルなソースを使うのではなく、特定のGitリポジトリを指定することができます。

gem 'impressionist', git: 'git://github.com/charlotte-ruby/impressionist.git'

オプションで特定のタグやブランチも指定できます。

オプション 意味
tag: 'tag_name' タグを指定
branch: 'branch_name' ブランチを指定
ref: '46a582ff8cd3496da64f174b30b91f9d97e86643' コミット(リファレンス)を指定

GitHubリポジトリの場合はgitの代わりにgithubが使えます。gitと比べて簡略表記が可能です。もちろんタグやブランチも指定できます。

gem 'impressionist', github: 'charlotte-ruby/impressionist', branch: 'branch_name'

インストール環境の指定

byebugなど特定の環境でのみ必要となるGemがあります。こういったGemのためにインストール環境を指定することができます。

group :development, :test do
  gem 'byebug'
end

特定のGemに対して直接指定することもできます。あまり使いませんが、参考までに。

gem 'byebug', group: [development, test]

Bundlerを実行する際、--withoutオプションをつけることで、インストールすべきでない環境を明示的に指定することができます。

$ bundle install --without development test

--withoutオプションを指定すると、Bundlerは指定された環境を記憶します。次にBundlerを実行するときは、--withoutオプションを指定しなくても記憶している環境を除いて実行されます。

指定された環境は.bundleディレクトリ配下のconfigファイルに書き込まれます。もし、指定した環境をリセットしたいという場合、このファイルを削除することでリセットすることができます(次に--withoutオプションを指定したときに再作成される)。

config

---
BUNDLE_WITHOUT: "production"

まとめ

Gemfileには今回紹介した書き方以外にももっとたくさんの書き方がありますが、その中でも特によく使うであろう書き方をピックアップしてまとめてみました。

Webページの記述されているコードをコピペする方法は楽ですが、コピペばかりしているといつまで経っても書き方を覚えることができません。よく使う書き方くらいは何も見ずとも書けるようになりたいものです。

本記事を参考にして、Gemfileの書き方を覚えていただければと思います。

関連記事

【Rails】Paranoiaを使用した論理削除(ソフトデリート)
# はじめに Paranoiaは、Railsアプリケーションで論理削除(ソフトデリート)を実現するためのGemです。 論理削除は、データベースのレコードを物理的に削除するのではなく、削除フラグを設定することで「削除済み」とみなす方法です。こ [...]
2024年7月20日 21:33
【Rails】activerecord-multi-tenantを使用したマルチテナントアプリケーションの作成
# はじめに マルチテナントアプリケーションでは、複数の顧客(テナント)が同じアプリケーションを利用するため、データの分離が必要です。 activerecord-multi-tenantは、このようなマルチテナント環境をサポートするための便 [...]
2024年7月18日 16:50
【Rails】RubyとRailsにおけるattr_reader, attr_writer, attr_accessorの概念と使用方法
# はじめに RubyとRailsの開発において、`attr_reader`,`attr_writer`,`attr_accessor`は非常に便利なメソッドです。これらは、クラス内でインスタンス変数に対するゲッターおよびセッターメソッドを簡単に [...]
2024年7月17日 18:11
【Rails】RubyとRailsにおけるyieldの概念と使用方法
# はじめに RubyとRailsにおける`yield`は、メソッドやテンプレートの中で動的にコードブロックを実行する能力を提供し、これによってコードの再利用性と拡張性が大幅に向上します。本記事では、RubyとRailsにおける`yield`の概 [...]
2024年7月17日 13:15
【Rails】AASMを使用してオブジェクトの状態遷移を効率的に管理
# はじめに Railsアプリケーションにおいて、オブジェクトの状態管理は重要な課題の一つです。AASM (Acts As State Machine) gemは、複雑な状態遷移を効率的に管理します。本記事では、AASMの基本的な使い方を解説して [...]
2024年7月16日 18:00
【Rails】RSpec + Swagger + rswagでアプリケーションのAPIをテストおよびドキュメント化する方法
# はじめに Railsアプリケーションの開発において、APIのテストとドキュメント化は重要な要素です。 RSpecはテストフレームワークとして広く利用されており、SwaggerはAPIの設計とドキュメント化を支援します。これらを統合するr [...]
2024年7月16日 14:27
【Rails】mailcatcherを使用して開発環境でメール送信をテストする方法
# はじめに mailcatcherは、開発環境でのメール送信をキャプチャするためのツールです。ローカルで送信されたメールをブラウザ上で簡単に確認できるようにします。mailcatcherをRailsアプリケーションで使用する方法について説明しま [...]
2024年7月15日 16:37
【Rails】impressionistを使用してページビューやクリック数を追跡する方法
# はじめに impressionist Gemを使用してRailsアプリケーションでページビューやクリック数を追跡する方法について説明します。 # 実装方法 ## impressionist Gemのインストール まず、impre [...]
2024年7月15日 14:18