はじめに
コンタクトフォームからお問い合わせ内容を送信したり、ブログに新着コメントがあったことを知らせる内容を送信したり、Railsアプリでメールを送信する必要のある場面は多いです。ActionMailerという機能を使えば簡単にメール送信機能が実装できます。ビューと同じようにレイアウトやテンプレートなども使えるので少し凝ったメールデザインにすることもできます。
本記事では、ActionMailerの使い方についてまとめています。
ActionMailerの基本
ActionMailerの作成
ActionMailerを作成するには、以下のコマンドを実行します。
$ rails generate mailer ContactMailer
上記コマンドを実行すると以下のファイルが作成されます。
app/mailer/contact_mailer.rb
app/views/contact_mailer/
test/mailers/contact_mailer_test.rb
test/mailers/previews/contact_mailer_preview.rb
ActionMailerの削除
ActionMailerを削除するには、以下のコマンドを実行します。
$ rails destroy mailer ContactMailer
ActionMailerの実装
メールを送信するには、メイラーアクションで送信先アドレスや件名などを設定し、メイラービューでメールデザインを作成します。処理の流れとしてはコントローラーとビューの関係によく似ています。
今回は例としてコンタクトフォームに入力されたお問い合わせ内容をメール送信する処理を作成します。
メイラーアクションの実装
まずメイラーアクションを実装します。コントローラーから渡されたパラメーターはメイラーアクション内でparams
ハッシュから取得できます。mail
メソッドで送信先アドレスと件名を設定し、メール送信処理が開始されます。
app/mailer/
ディレクトリ配下のcontact_mailer.rb
に以下を追記します。
class ContactMailer < ApplicationMailer
# 以下を追記
def send_mail
@contact = params[:contact]
app_name = Rails.application.class.parent_name
mail(to: contact@example.com, subject: "【#{app_name}】新着のお問い合わせ")
end
end
mail
メソッドの引数でto
(送信先アドレス)は設定していますがfrom
(送信元アドレス)は設定していません。from
(送信元アドレス)の設定はどこでしているかというと、application_mailer.rb
で行っています。
class ApplicationMailer < ActionMailer::Base
default from: 'from@example.com'
layout 'mailer'
end
from
(送信元アドレス)の設定を変更したい場合はこのapplication_mailer.rb
を直接書き換えてもいいのですが、個別のメイラーアクションに書くことで設定を上書きすることができます。
class ContactMailer < ApplicationMailer
# 以下を追記
default from: 'no-reply@example.com',
to: 'contact@example.com'
def send_mail
@contact = params[:contact]
app_name = Rails.application.class.parent_name
mail(subject: "【#{app_name}】新着のお問い合わせ")
end
end
contact_mailer.rb
にfrom
(送信元アドレス)を追記し、ついでにto
(送信先アドレス)も移動しました。このように、mailer
メソッドの引数はすべてメイラーアクション外のdefault
で設定することもできます。
メイラービューの実装
次にメイラービューを実装します。メイラービュー名はメイラーアクション名と同じにする必要があります。また、コントローラー同様、メイラーアクション内で定義した@
付きの変数はメイラービュー内で使うことができます。
app/views/contact_mailer/
ディレクトリ配下にsend_mail.html.erb
を作成し、以下を記述します。これはHTMLメールのメイラービューになります。
<p><%= @contact.name %> (<%= @contact.email %>)</p>
<%= simple_format(@contact.content) %>
テキストメールのメイラービューも作成します。send_mail.text.erb
を作成し、以下を記述します。
<%= @contact.name %> (<%= @contact.email %>)
<%= @contact.content %>
メイラービューは通常のビューと同じく、レイアウトとテンプレート(とパーシャル)から構成されます。メイラービューのデフォルトのレイアウトはapp/views/layouts/
ディレクトリ配下のmailer.html.erb
とmailer.text.erb
です。メイラービューのレイアウトでもyield
を使うことができます。
個別のレイアウトを使いたい場合は、ActionMailerと同じ名前のレイアウトファイルを作成します。ContactMailer
の場合、レイアウト名はcontact_mailer.html.erb
とcontact_mailer.text.erb
となります。
サイト内リンクと画像の追加
ActionMailerは、HTTPに基づくホスト情報とは無関係です。ビューで使えるlink_to
やimage_tag
はメイラービューでも使うことはできますが、HTTPに基づくホスト情報が使えないので、アプリケーション設定でホスト情報を明示しておく必要があります。
config/environments/
ディレクトリ配下の環境毎の設定ファイルに以下を追記します。以下は開発環境の例です。本番環境は実際のホスト情報に書き換えてください。
config.action_mailer.default_url_options = { host: 'localhost', port: 3000 }
config.action_mailer.asset_host = 'http://localhost:3000'
これでメイラービューでサイト内リンクと画像が使えるようになりました。
<p>ログインは<%= link_to 'こちら', login_path %>からお願いします。</p>
<%= image_tag 'logo.png', alt: 'ロゴ画像' %>
コントローラーの実装
最後にコントローラーから実装済みのメール送信処理を呼び出します。今回はお問い合わせ内容のメール送信なので、コンタクトフォームからお問い合わせ内容が送信されたときのアクションに以下を追記します(関係ない箇所は省略しています)。
class ContactsController < ApplicationController
def sending
@contact = Contact.new(contact_params)
if @contact.valid?
# 以下を追記
ContactMailer.send_mail(@contact).deliver_later
redirect_to contact_done_path
else
redirect_to contact_path
end
end
private
def contact_params
params.require(:contact).permit(:name, :email, :content)
end
end
これでメールを送信する準備ができました。実際にメールを送信するにはさらにActionMailerの設定(SMTPなど)を行う必要があります。ActionMailerの設定については、後述の「ActionMailerの設定」セクションと「ActionMailerのテスト」セクションを参照してください。
ActionMailerの設定
ActionMailerの設定は環境毎に異なることが多いので、config/environments/
ディレクトリ配下の環境毎の設定ファイルに記述します。以下はメールサーバーにGmailを使用する場合の例です。
config.action_mailer.delivery_method = :smtp
config.action_mailer.smtp_settings = {
address: 'smtp.gmail.com',
port: 587,
domain: 'example.com',
user_name: Rails.application.credentials.gmail[:user_name],
password: Rails.application.credentials.gmail[:password],
authentication: 'plain',
enable_starttls_auto: true
}
ユーザー名とパスワードはCredentialsを使って設定します。Credentialsの使い方については以下の記事を参照してください。
ActionMailerのすべての設定項目を確認したい場合は以下のページを参照してください(config.action_mailer
を検索)。
ActionMailerのテスト
ActionMailerのテストは大きく分けて2種類あります。1種類目は、メールが意図した通りのデザインになっているかの確認。これはメールのプレビューを使って確認します。2種類目は、メール送信処理がエラーなく動くかの確認。これはmailcatcher
というGemを使って確認します。
デザインの確認
メールデザインの確認を行うには、メールのプレビュー機能を使います。ActionMailer作成コマンドを実行したときにプレビューファイルも作成されます。test/mailers/previews/
ディレクトリ配下のcontact_mailer_preview.rb
に以下を追記します。
class ContactMailerPreview < ActionMailer::Preview
# 以下を追記
def send_mail
contact = Contact.new(name: 'テスト', email: 'test@example.com', content: 'テスト送信。')
ContactMailer.send_mail(contact)
end
end
あとはhttp://localhost:3000/rails/mailers/contact_mailer/send_mail
にアクセスするだけでメールデザインを確認することができます。また、http://localhost:3000/rails/mailers
にアクセスすればメールのプレビュー一覧を確認することができます。
送信処理の確認
メールが送信されることを確認する必要があるのですが、実際のメールサーバーを使いたくない場合があります。そんなときはmailcatcher
というGemを使って確認を行います。mailcatcher
の使い方については以下の記事を参照してください。
まとめ
Railsアプリであれば比較的簡単にコンタクトフォームを実装できてしまいます。ただし、自作のコンタクトフォームは英語のスパムが届くことがあるので、できれば対策を行ったほうがいいでしょう。英語のスパム対策については以下の記事を参照してください。
本記事を参考にして、ActionMailerの使い方を覚えていただければと思います。