はじめに
Next.js 13で導入されたuse client
は、アプリケーションのパフォーマンスとクライアント・サーバー間の役割分担を最適化するための重要な機能です。この新しいアプローチにより、コンポーネントがサーバーサイドでレンダリングされるのか、クライアントサイドで実行されるのかを明確に区別できるようになりました。
この記事では、use client
の仕組みや使用方法、適切な使い方の例を解説し、サーバーコンポーネントとクライアントコンポーネントの違いについても触れていきます。
use client とは
Next.js 13では、Reactのサーバーコンポーネントとクライアントコンポーネントという概念が導入されました。デフォルトでは、コンポーネントはサーバーサイドでレンダリングされる「サーバーコンポーネント」として扱われますが、クライアントサイドで実行する必要があるコンポーネントには、明示的にuse client
ディレクティブを追加します。
クライアントコンポーネントが必要な場合
クライアントサイドの機能、特にユーザーのインタラクションやブラウザに依存する機能を利用する場合、コンポーネントはクライアントサイドで実行される必要があります。以下のような場合にクライアントコンポーネントが必要です。
- 状態管理:
useState
やuseReducer
などのReactフックを使用する場合。 - イベントハンドリング: ボタンのクリックやフォームの入力など、ユーザーからの入力やインタラクションに基づいてUIを更新する場合。
- ブラウザAPI:
window
やdocument
などのクライアントサイドのAPIにアクセスする場合。
このようなケースでは、コンポーネントの最上部にuse client
を宣言する必要があります。逆に、サーバーサイドでデータ処理や非同期なAPIリクエストを処理する部分にはuse client
を使用しないようにします。
使用方法
use client
は、ファイルの一番上に以下のように宣言します。
'use client';
import { useState } from 'react';
export default function Counter() {
const [count, setCount] = useState(0);
return (
<div>
<p>Count: {count}</p>
<button onClick={() => setCount(count + 1)}>Increment</button>
</div>
);
}
上記の例では、useState
を使用しているため、クライアントサイドで実行する必要があります。この場合、use client
を宣言することで、Next.jsはこのコンポーネントがクライアントサイドで動作するものだと認識します。
サーバーコンポーネントとの違い
サーバーコンポーネントは、サーバー上で処理が行われ、データベースからの取得やAPIリクエストなどの重い処理を効率的に行うことができます。これに対して、クライアントコンポーネントは、ユーザーインタラクションが必要な処理に特化しています。
- サーバーコンポーネント: パフォーマンスの向上、SEOの改善、初期ロード時間の短縮が可能。
- クライアントコンポーネント: 状態管理やイベント処理、ブラウザAPIにアクセスする必要がある場合に使用。
まとめ
Next.js 13で導入されたuse client
は、クライアントサイドとサーバーサイドの処理を分離し、パフォーマンスとユーザー体験を最適化するための強力なツールです。
サーバーコンポーネントがデフォルトである一方、クライアントサイドでの処理が必要な場合にはuse client
を適切に使い分けることで、効率的でスムーズなReactアプリケーションを構築できます。
この新しいアプローチを活用して、アプリのパフォーマンスやユーザーインタラクションを最適化しましょう。